2011年8月17日水曜日

OS X Lion 所感

 OS X Lionがリリースされて一月が過ぎた。本当はもっと早く書く予定だったが、遅くなってしまった所感をここに記すことにする。また、Lionの新機能だけでなく、Mac OSについても同時に書き連ねることにするので留意されたい。

 先に従来から搭載されていた機能について書くことにする。私はMac OSの滑らかなスクロール機能を非常に気に入っている。以前の記事でも述べたが、この機能はスクロール可能な領域についてドット単位(あるいは内部的にはもっと小さな単位かもしれない)でのスクロールを可能とするもので、Windowsの行単位またはページ単位の不格好なスクロールとは一線を画すものだ。
 この機能は、Macが垂直統合型モデルによって生産されているため、主流なラップトップモデルに大きなトラックパッドが搭載されていること、Apple社自身がリリースしている周辺機器の力が強いこと、そしてその中にMagic Trackpadが含まれることに依るところも大きい。
 この機能を、「様々なアニメーションによる無駄な視覚効果の一つに過ぎない」と切って捨てる方も多いかと思うが、それは断じて違うと断言しよう。何故なら、このアニメーションは無駄ではないからだ。何故無駄ではないのか?それは、この視覚効果が人間の画面に対する追従性を著しく改善するものだからである。この機能はWindowsのスムーススクロール等とは比較にならない快適さを提供してくれる。スムーススクロールはスクロールした際の追従速度を下げて、間のアニメーションを保管するだけだが、Mac OSでは慣性スクロールで指にぴったりと吸い付くように画面もスクロールし、指を止めればピタリと止まってくれる。トラックパッドというデバイスとの親和性も相まって、その差は雲泥の差だ。
 Windowsでも一部のデバイスでドライバとユーティリティを導入すれば同様の機能を実現できる物も無いことはないが、やはりカーネルレベルでOSに統合されているのとは訳が違う。

 次にプロセス管理機能について述べよう。プロセス管理機能とは言っても内部的なものではない。マルチタッチジェスチャ、フルスクリーンアプリケーション、Mission Controlを併せて、この記事ではそう呼ぶことにする。
 マルチタッチジェスチャは、これらのプロセス管理機能を直感的かつワンアクションでアクセスできるようにしてくれるものだ。特に、Mission Controlによる仮想デスクトップ機能との親和性の高さは賞賛に値する。横に一直線にならんだ仮想デスクトップを、マルチタッチジェスチャによって画面を払うような感覚で遷移することができるのは、非常に優れたUIだ。
 そして、この機能はフルスクリーンアプリケーションと密接に結びついてくる。Lionでは、全画面化したアプリケーションは自動的に仮想デスクトップの一画面を専有する。勝手にこのようなことをされることを嫌う人も多いだろうが、私はこの機能を粗忽ね気に入っている。全画面化する、ということは、デスクトップ全体を使って作業をしたいアプリケーションであることの明示化だ。ならば、そのアプリケーションを最小化したりしながら同じデスクトップ内で複数のウィンドウを扱うことはナンセンスだ。自動的に仮想デスクトップの一画面をウィンドウに割り当て、ウィンドウが閉じられたらそのデスクトップも同時に閉じる、というのは非常にスマートな機能である、と言えるだろう。
 同時にフルスクリーンアプリケーションは集中力を高める効果をもたらす。一般的な全画面化をより推し進めた機能であるから、そのアプリケーション一つに対する集中力の向上、生産性の向上は著しいだろう。同時に、アプリケーションをフルスクリーン化している状態でも、アプリケーションの切り替え速度に抜かりは無い。テキストを書きながら、そのテキストを書く上で調べ物をするのにブラウザを開いている場合等、マルチタッチジェスチャによって瞬時に仮想デスクトップ間を行き来することができるからだ。このように、マルチタッチジェスチャ、フルスクリーンアプリケーション、Mission Controlは密接に結びついている。単なるiOSの機能を宣伝用に持ち込んだだけだ、という人はこの事をもっとよく考慮すべきだろう。
 また、アプリケーションをどのデスクトップで開いているかも、Mission Controlによて統合的に扱い、瞬時に判断できる仕組みが整っている。これらの機能は、他のOSと比較して群を抜く操作性を実現するものであることを、他のOSは認めなければならないだろう。

 以上が、Lionの最も大きな革新であるように思う。最後に、幾つかの細かい機能について述べることにする。
 まず最初に、LaunchpadとMac App Storeについて述べる。この2つの機能について、特に前者についてはiOSの機能を無意味に持ち込んだだけだ、と酷評する人も多いが、私はそうは思わない。たくさんのアプリケーションがインストールされたコンピュータにおいて、使用したいアプリケーションに素早くアクセスすることができることはとても重要なことだ。Launchpadを使用すれば、画面全体にカラフルなアイコンがグリッド上に並ぶことになるので、明快で見やすい。
 また、Mac App Storeを通して配信されるアプリケーションは、一定の作法を以って開発され、インストール、Launchpadへの登録、アップデート、アンインストールまでMac App Storeで統合的に扱えるようにできているので、ユーザはアプリケーションのアップデートについて気にする必要が無い。これはとても大きなアドバンテージであると言える。
 AirDropは、それ自身は便利な機能ではあるが、別段技術的に珍しい機能であるようには思えない。Nintendo DSや3DS、PSPのアドホック通信に類似する技術で、むしろ他のOSにもあって然るべき機能であるように思える。異なるOS間での通信となると話は変わってくるのであろうが(であるからして、Macユーザが集まる場でないと使えない機能であるのが辛いところだ)。
 マルチタッチジェスチャが基本に据えられたことにより、スクロールバーが消えたことについて、私自身はよいことであると思う。画面をアプリケーションがより広く扱えるのは良いことだし、設定で復活させることもできる。なによりかっこいいしね!
 再開、オートセーブについては、私自身がその全貌を把握できていないのでここでは述べない。便利な機能であることは確かだろう。

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